ごあいさつ

第21回日本がん分子標的治療学会学術集会
会長 小野 眞弓
九州大学大学院薬学研究院


第21回日本がん分子標的治療学会学術集会を担当させて頂きます九州大学の小野眞弓でございます。このような貴重な機会を与えて頂きました長田裕之理事長をはじめ学会の皆様方に心より感謝申し上げます。

第21回日本がん分子標的治療学会学術集会は、2017年6月14日(水)から16日(金)の3日間九州大学医学部百年講堂・同窓会館(福岡市)で開催する運びとなりました。多くの皆様のご参加をどうぞよろしくお願い申し上げます。

日本がん分子標的治療学会(JAMTTC)は1996年世界に先駆け我が国に誕生して20年経過し、年々充実した学会として成長しております。これは本学会の皆様の懸命なご努力に負うところが大きいと思います。この20年は分子生物学研究で明らかにされたがん細胞の個性を対象としたがん分子標的治療薬のシーズ探索と創出研究、さらに臨床への導入の歩みでもありました。現在がん分子標的治療薬は“がん征圧”にむけて確実に貢献しております。今後は進行がんや再発がんの治療薬として分子標的治療薬をさらに進歩させることが、がん薬物治療研究の大きな使命と考えました。そこで福岡での本学術集会のメインテーマは“がん分子標的治療にいま求められている新しい使命”とさせて頂きました。

治療薬の標的分子やがん種が多様化しており、登場する治療薬は年々増加しております。新しい有用な標的分子探索と薬剤創出のための新技術は? 分子標的治療薬の適正化治療のための感受性予測診断マーカーは? 治療抵抗性を示す耐性がんの出現やがんの不均一性メカニズムとその克服は? 等幾つかの新たな課題に取り組んでいく必要があります。次世代シークエンサー技術導入やヒト腫瘍からの直接的な細胞樹立や感受性アッセイ技術の進歩をとっても、この研究分野は大きく変革しはじめております。本学会では分子標的治療に関する新しいコンセプトや技術革新にふれると共に、がんの生物学とじっくりと向きあって治療創出研究を再考する場を提供できればと思っております。そのために魅力的なテーマを設定し、基調講演、ワークショップ、シンポジウムを企画したいと考えております。がん患者さんに大きな利益をもたらす治療研究が本学会で討論されることを切に期待しております。

福岡は地震の被害の大きかった熊本そして大分と隣接しております。九州では今多くの皆さまからのご支援を受けながら復興にむけての歩みが進められております。今回の学会ポスターは私どもの仲間で考えた“朝日がのぼる有明海”にいたしました。多くの方々に第21回日本がん分子標的治療学会学術集会へご参加頂き、がん治療研究のご成果を活発にご討論頂くことで多大の励ましと勇気を頂けることを願っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。